講演会④
更新日:9月16日
①10/18(日)14:30〜15:15
何のための路上博物館なのか
森健人さん

[プロフィール]
一般社団法人路上博物館 館長。博士(理学)。博物館に眠る骨格標本を
3Dスキャンし、複製や映像として館外に持ち出すことで、博物館に縁の
なかった人へ標本の面白さを届ける活動を行う。全国の博物館と連携した
デジタルアーカイブのほか、路上での展示やイベント出展を各地で展開。
現在の博物館は一般の人々にとっては標本を観察することができない場所である。直接触れないし、アクリルケース越しに覗くことしかできない。入館するまで何が展示されているかもわからず、本当に調べたいことを調べるすべが閉ざされている。標本こそが博物館の真髄であるはずなのに、そこへと至る道は思いのほか険しい。これは現在の博物館が抱えている「障害」である。
路上博物館は、この障害を取り除くための活動であり、2018年科研費研究の一環として始まった。博物館の収蔵庫にある標本を3Dスキャンし、複製として、あるいはデータとして館の外へ持ち出す。通りすがりの人に「触ってみませんか」と声をかけ、レプリカに触らせる。

3Dプリントレプリカは拡大も縮小もでき、小さいモグラも大きなクジラも等しく掌握することができる。目の見えない人も手で形を追える。データであれば世界中どこからでも見られる。壊れることを恐れずに済むぶん、博物館の側の心理的なハードルも下がる。しかし、所詮3Dデータは実物標本と人とのあいだを繋ぐ緩衝材に過ぎない。

目指しているのは、博物館が図書館のようになった社会である。それは博物館において誰もが標本を手に取り、心ゆくまで観察し、自らの問いを検証することができる社会である。そして、博物館がこれから先、人々に必要とされ、存続していくためにも必要なシステムだと考えている。その道中にあって、まずは今の博物館の在り方に疑問を抱く人々を増やしていきたいと考え、路上に立っている。



