18日講演『甲殻類をめぐる創作活動が教えてくれること 〜文化甲殻類学放談〜』
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- 10月12日
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更新日:10月13日

②10/18(土)15:30〜16:15
『甲殻類をめぐる創作活動が教えてくれること 〜文化甲殻類学放談〜』
大土直哉さん
東京大学大気海洋研究所大槌沿岸センター助教。同センター内常設展示室「おおつち海の勉強室」室長。専門はクモガニ上科を主とするカニ類の分類学、岩礁藻場生態系の主要構成要素としての甲殻類の生態学。趣味の「カニグッズ」集めが高じて人と甲殻類の文化的係わりを研究する「文化甲殻類学」を構想中。
季節は真夏。会話の途切れ目に、日差しの照り付ける砂浜をカニがそろそろと歩く――。アニメやマンガでこんなシーンを見たことがある(気がする)人は多いかもしれません。実際のところ、炎天下の砂浜をカニがうろついたら一瞬で死んでしまうでしょう。しかし日本のアニメには遅くとも1970年代後半から現在に至るまでこのようなシーンが存在し続けています。「炎天下のカニ」は、本来あり得ない存在ですが、もはや現代日本人の典型的な「野生のカニ」観の一つと言っても良いかもしれません。
このような事例収集から見えてくる生物表現と生物学的知見の「ズレ」、それを「誤り」と断じることは容易ですが、私はそれこそが甲殻類と人の文化的な係わりを知るための手がかりと注目しています。
1980年にアメリカの研究者が提唱した新しい学問領域「文化昆虫学(Cultural Entomology)」は、昆虫類と人間の文化的係わりを明らかにすることを目指し、近年、日本においてはサブカルチャーまでをも対象とすることで近年静かな盛り上がりを見せています。いま私は様々な情報を整理する中で「文化甲殻類学」を構想し、これらが研究者によるアウトリーチの効果を知る手段になるのではないかと考え始めています。一緒に考えてみませんか。

