講演会

いきもにあ2023会場内にて、4年ぶりに講演会を実施します!

 

▷場所

いきもにあ2023会場内

 

▷内容

みんなの人気者からマニアックな生物まで、専門家による楽しくてためになるお話をお届けします。(各回30分+質疑応答15分)

 

▷お申し込み

不要。時間になりましたら講演会場にお越しください。

 

▷対象

0歳〜。

お子様連れの方は会場前方のシートをご利用ください。赤ちゃんが泣いても大丈夫!

いきもにあは、あらゆる世代の方にお楽しみいただくイベントです。

 

▷定員

各回200名程度(入れ替え制)

 

▷タイムテーブル

◉10月7日(土)

[第一部] 14:00〜14:45

『最小イカの恋の駆け引き、墨の駆け引き』

佐藤成祥さん

ヒメイカ

 

ヒメイカというイカがいます。このイカが属するヒメイカ科は現在、世界に七種が確認されていますが、いずれの種においても、体がせいぜい2cmほどの大きさにしかならないのが特徴の世界最小の頭足類の仲間です。

圧倒的な知名度を誇る世界最大の頭足類、ダイオウイカとは対照的に、ヒメイカの存在はほとんど一般の人には知られていません。しかし、彼らの小さな体を活かして非常にたくさんの魅力的な特徴が発見されました。

繁殖において、彼らは受精に使用する精子を選ぶことで、交尾相手を決めるために行う雄選びを、交尾後に行います。捕食者から狙われた時は、吐き出した墨をおとりのように使い、巧みに相手を欺きます。そして、時にはその墨を巧みに操り、相手をしとめます。

小さくても魅力たっぷり!行動観察にもってこいのヒメイカの話をどうぞお楽しみください。

ダイオウイカなんて、あんなのデカいだけですよ。

 

[第二部] 15:30〜16:15

『ボルネオ島の原生林でオランウータンを追いかける』

久世濃子さん

東南アジアの熱帯雨林で単独生活をする大型類人猿オランウータンは、会うのが難しい動物の一つです。ほとんど声を出すこともなく、単独でひっそり動くオランウータンを森の中でどうやって探すのか?そして実際に会えたら研究者は何をするのか?森での調査中のエピソードを交えながら、オランウータンの生態や行動をご紹介します。

例えば、調査中に遭遇する吸血ヒル、毒ヘビ、ダニ、ボルネオゾウ、植物など、時には調査を諦めざる得ない事態を引き起こす厄介な生き物たち。雌雄で異なるオランウータンの1日の生活パターンや、年によって大きく変わる食物の内容。同じ森に住むテナガザル等、オランウータン以外の動物やそれらの動物とオランウータン達との関わり等についてお話します。

最後に、オランウータンが住む森と日本人の日々の生活がどのようにつながっているのか、私達がオランウータンを絶滅の危機から救う為にできることをお伝えしたいと思います。

 

◉10月8日(日)

[第一部] 13:00〜13:45

『ウニをとりまく共生系』

山守瑠奈さん

ハナザラ

みなさんウニ好きですか? 美味しさは勿論のこと(私はウニ食べられませんので一般論です)、トゲトゲで掴みどころの無いボディ(掴んだら痛いですしね)、動画を早送りすると浮かび上がるコミカルな動き。いきもにあに来られている方ならお一方一つ以上は挙げられるであろうウニの魅力、今日は倍増計画を企てています。

磯に生息しているウニの中に、岩に穴を掘れる種類がいることをご存知でしょうか。また、その巣穴の中には沢山の生物が生息していることも。私は大学院生の頃にウニが育む共生系と、ウニの巣穴にのみ住み込み共生する貝類ハナザラに惹かれ、研究にのめりこんできました。本日はこれまでの研究で明らかにしてきた、ウニの巣穴や体表の面白い共生生物を紹介します。

本講演の後、海でウニを見つけた時に「ウニがいるな」だけで終わらず、「あのウニの下には、棘の隙間には、どんな生物が隠れているのだろう?」とついつい覗き込んでしまいたくなる症状が現れると、私が心の中でガッツポーズをします。

 

 

[第二部] 14:30〜15:15

『夏はカメラッシュ!ほぼ北限、東北でのウミガメ研究』

きのしたちひろさん

ウミガメというと、暖かい海域でゆったりと生活するイメージが強いのではないでしょうか。産卵場がある砂浜が熱帯に集中し、水中で遭遇する機会が多いからかもしれません。しかし最近は、寒冷な海域にも進出していることが少しずつ知られるようになりました。この講演では、生息域の北限に近い三陸沿岸部にやってくるウミガメたちの生態や、調査の様子をたくさんの写真とともに紹介します。また、ウミガメ類の中で一際異彩を放つ巨大なウミガメ、「オサガメ」についても、三陸沿岸部で混獲された個体の様子や、最新の研究成果も含めつつ生態をお話しします。現生のウミガメは世界にたった7種しかいません。この講演を機に、ウミガメ全種を見分けられるようになり、ウミガメという生き物に興味を持っていただけると幸いです。

▷登壇者プロフィール

 


佐藤成祥

東海大学海洋学部水産学科講師。専門は頭足類の行動生態学で、分かりやすく面白そうな事柄にすぐに飛びつく研究スタイル。

ヒメイカの研究も来年で20年になるが、最近はいろんな頭足類に手を出しており、特にタコに力を入れている。

ごめんなさいヒメイカ。


久世濃子

東南アジアのボルネオ島でオランウータンの行動や生態を研究し、2005年に東京工業大学で博士号(理学)取得。京都大学や国立科学博物館等で研究に従事し、現在はNPO法人「日本オランウータン・リサーチセンター」理事。主な著書:「オランウータンに会いたい」あかね書房、「正解は一つじゃない 子育てする動物たち」東京大学出版会など。

 


山守瑠奈

京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所助教。岩盤穿孔生物を基点とした共生系や携巣性多毛類の生態など、さまざまな海洋生物の自然史を研究しています。一番好きな海洋生物はハナザラですが、一番好きな生物の座は文鳥に獲られ、隙を見ては「文鳥 可愛すぎる」でweb検索しています。

 


きのしたちひろ

博士(農学)・イラストレーター ウミガメや海鳥などの海の動物の行動や生理に興味があります。大学院時代は岩手県の漁師さんと一緒に定置網船に乗り、 生きたまま混獲されるウミガメのことを調べていました。生き物の観察やスポーツが好きですが、一番長く続けているのは絵を描くことです。