いきもにあ2019講演者紹介


いきもにあでは、研究者をお呼びし、生物の魅力、研究の面白さについて語っていただきます。

これまで知らなかった生きものや、難しいと思っていた研究を身近なものに感じることができるはず。ぜひお越しください!

※小さなお子さまをお連れの方も大歓迎です。端のほうの席がいい、座ると赤ちゃんが泣くので立って聴きたい、などご要望がありましたら近くのスタッフにお気軽にお声がけください。

●会場

神戸サンボーホール 2F いきもにあ講演会場

●参加人数

200席、先着順(聴講無料、ただし入場料は必要)

※聴講者多数の場合は立ち見あり。限られたスペースですので、譲り合いをよろしくお願いいたします。

●講演内容

11/30(土)
 ▷第1部 12:30-13:15 「シジュウカラ語の発見」鈴木俊貴
 ▷第2部 14:00-14:45 「僕たちがウニを集める理由」田中颯
 ▷第3部 15:30-16:15 「キリンの首に秘められた謎に迫る」郡司芽久

12/1(日)
 ▷第1部 13:00-13:45 「不可視な菌類の不思議な世界」白水貴
 ▷第2部 14:30-15:15 「ウミウシの話~食う寝るところ住むところ~」中野理枝


11/30(土)
▷第1部 12:30-13:15
「シジュウカラ語の発見」        

鈴木俊貴(鳥の会話研究者) twitter

動物行動学者。京都大学白眉センター特定助教。

立教大学大学院にて博士号を取得後,日本学術振興会特別研究員SPDや京都大学生態学研究センター研究員,東京大学学際科学科助教を経て現職。

シジュウカラの仲間を中心に鳥たちの会話の内容(音声コミュニケーション)を研究している。

=================

 ダーウィン以来,「言語」はヒトと動物を隔てる決定的な性質であると考えられてきました。ヒトは単語を用いて物事を示したり,それらを組み合わせて文章をつくり会話しますが,動物の鳴き声は単なる感情の表れにすぎないと捉えられてきたのです。しかし,この二分は本当に正しいのでしょうか? 私は,この疑問を胸に,野鳥の音声コミュニケーションを研究してきました。

 13年以上にわたる野外研究の成果として,私たちに身近な小鳥のシジュウカラが,捕食者の種類を示したり仲間を集めたりするための様々な鳴き声をもつことがわかってきました。さらに,彼らはこれらの鳴き声を組み合わせ,より複雑なメッセージまで作れるのです。

 聞き手のシジュウカラは,鳴き声の示す対象をイメージしたり,音列に文法のルールを当てはめることで情報を読み解いていることもわかってきました。これらの発見は,私たちが普段会話のなかで使っている認知能力を動物において初めて実証した成果であり,言語の進化に迫る上でも大きな糸口を与えるはずです。

 本講演では,上記の研究内容を紹介しながら,野外観察や行動実験から動物たちの豊かな会話の世界にどのように迫れるのかお伝えすることができれば幸いです。

↑上に戻る


▷第2部 14:00-14:45
「僕たちがウニを集める理由」

田中颯(ウニ研究者) twitter

1994年、京都府生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士前期課程修了。

タコノマクラ・カシパン目の系統分類が専門。

大学生の頃にウニの新種(今のコーヒーマメウニ)を発見したことをきっかけに、ウニの分類学にはまる。

現在はIT企業でエンジニアをしつつ日本産ウニ類の分類の研究をライフワークとして続ける。

著書は「ウニハンドブック」。

=================

 近年「ウニ」の標本を集めている人が増えている気がします。海棲動物の究極のコレクション対象である貝殻には到底及びませんが、それに次ぐ程度には、「ウニ」の殻が多くの人の興味を集めているようです。人々がウニを集めるモチベーションは何だろうなということを考えてみますと、個人的にはウニがもつ形の面白さが一役買っていると思っています。

 皆さんが「ウニ」と聞いて想起するのは、黒っぽいイガグリ状の姿でしょうか。「ウニ」は世界中に900種ほどが知られる一大グループの海棲無脊椎動物ですが、黒っぽいイガグリ状の姿をもつウニなんてものはむしろ少数派。ではどんな形が一般的か、と言われると答えに困る程に、ウニは極めて高い形の多様性を持っています。直径40 cmにもなる巨大なウニから米粒以下の数msmの微小なウニ、ぺちゃんこのせんべいのようなウニから柱サボテンのように縦に伸びたウニ、殻が岩のように硬いウニから紙のように柔らかく脆いウニ、輪郭が円形のウニからハート型、ボーリングのピン型のウニ…今回の講演では、そんなウニの形の多様性とその意義を紹介します。ついでに、演者のウニの分類学的研究の一端である、近年発見された新種のウニの話などをします。


↑上に戻る


▷第3部 15:30-16:15
「キリンの首に秘められた謎に迫る」

郡司芽久 (キリン研究者) twitter

1989年生まれ。幼少期からのキリン好きが高じて、キリン研究者への道を志す。

2017年3月に東京大学農学生命科学研究科を卒業して、念願のキリン博士に。

現在は国立科学博物館にて日本学術振興会特別研究員(PD)として勤務。

世界で一番キリンを解剖している人間(かもしれない)。

著書は「キリン解剖記」

=================

  キリンが亡くなりました­­­­―――私の研究は、動物園の方から届く訃報から始まります。

 私は、日本国内の動物園で飼育されているキリンの解剖をして、彼らの体の中に隠された進化の謎について研究をしています。これまでに、北は北海道から、南は鹿児島まで、日本各地の動物園からキリンの遺体を献体していただき約30頭のキリンを解剖してきました。

 キリンといえば、あの長い首が何よりも特徴的です。あれだけの長い首を持っていながら、首の部分にある「頸椎」の数は、私たち人間と同じく7個です。哺乳類のなかまには、首の長さに関わらず頸椎数が7個という体づくりの基本ルールがあるのです。ところが、たくさんのキリンを解剖していく中で、どうやらキリンには「第8の“首の骨”」とも言えるような奇妙な働きをもつ骨があることがわかってきました。今回の講演では、キリンの解剖を通じて発見した「第8の“首の骨”」について、研究にまつわるエピソードを交えつつご紹介します。また、キリンの遺体を献体していただき、骨格標本を作成するまでの過程もお話いたします。

↑上に戻る


12/1(日)
▷第1部 13:00-13:45
「不可視な菌類の不思議な世界」

 白水貴(菌類研究者)twitter

1981年,和歌山県生まれ.博士(理学).三重大学大学院生物資源学研究科助教.

真菌類の多様性や生態を研究.著書に『奇妙な菌類――ミクロ世界の生存戦略』(NHK出版新書),共著に『日本のきのこ』(山と渓谷社),『微生物の生態学』(共立出版)など.

監修に『菌の絵本 かび・きのこ』(農山漁村文化協会)など.

=================

 みなさんは“菌類“と聞いてどのような生き物を想像しますか? マツタケなどのきのこ? 醸造に欠かせない麹菌? 納豆菌やインフルエンザウイルスを思い浮かべている方もいるかもしれません.ここでお話しする菌類とは,細菌やウイルスとは生物学的に異なる,きのこやかび,酵母,地衣などと呼ばれる“真菌類“です.

 地球上には150~1000万種の菌類が存在するといわれていますが,我々はそのたった数%しか記載できていません.見えないため意識されず,バイキンや病原菌などネガティブなイメージを持たれやすい菌類.

 しかし,その印象とは裏腹に,我々の生きる陸上生態系において様々な生物間相互作用や物質循環にかかわる重要な機能を担っています.これらの菌類の多様な生き様を調べる研究により,植物に感染して花に化けたり,アリに寄生して行動をコントロールしたりする驚愕の生態もわかってきました.さらに近年,土壌や腐朽材中のDNAを調べる研究により,従来の方法では検出困難な未知系統が環境中に潜在していることが分かってきました.

 一方,最新技術により急速に可視化されつつある未知の多様性と,従来のリンネ式分類体系によって認識されてきた多様性の間にギャップが生じてきています.新旧の多様性認識の間に生じた闇“ダークタクサ“を見つめつつ,菌類の類まれな多様性をともに堪能しましょう.

↑上に戻る


▷第2部 14:30-15:15
「ウミウシの話~食う寝るところ住むところ~」

中野理枝(ウミウシ研究者)

早稲田大学を卒業後広告代理店に就職するが、ダイビングを始めたことをきっかけに退社し、1989年よりフリーランスライター。

2004年に図鑑『本州のウミウシ』を執筆、本格的にウミウシの研究がしたくなり、2007年に琉球大学大学院理工学研究科に進学。

2013年3月 博士号取得。 2014年6月 NPO法人全日本ウミウシ連絡協議会を設立し、理事長に就任。

公益財団法人黒潮生物研究所客員研究員。

=================

 海底を眺めていると、ふと目にとまる色鮮やかな生き物。頭には2本のツノがあり、お尻には花びらのようなヒラヒラがある。岩の上の草原のような場所にたたずんでいたり、砂地をのんびり歩いていたりする、やわらかそうなこの動物をウミウシという。派手な色や不思議な形からは想像しづらいが、ウミウシは巻き貝の仲間。とはいっても多くの大人のウミウシに殻はなく、裸のままで暮らしている。
貝殻を脱いだ巻き貝、それがウミウシだ。
けれど、硬い貝殻なしに、ウミウシはどうやって身を守っているのだろう?
のんびりしているけれど、魚などに食べられてしまわないのはなぜ?
その答えは、ウミウシが食う寝るところ、つまり海底に隠されている。

 本講演では貝殻を捨てたウミウシが生き残るためにどのような知恵と工夫をこらしているかを、美しい写真をふんだんに用いてわかりやすく紹介する。併せてウミウシの餌をめぐる、ウミウシと甲殻類との攻防についての、演者の研究報告も行う。小さく愛らしいウミウシの、意外なほどしたたかで巧みな生き方を知ることで、ウミウシの生き物としての魅力を伝えたい。

↑上に戻る