いきもにあマークの秘密


いきもにあ のマーク、みなさんにはどんなものに見えますか。

 

車輪? 丸を組み合わせた模様? 金太郎飴?
人工的に作られたような奇妙な形をしていますが、実はこれ、生き物に深い関わりのあるものなんです。

 

精子が泳ぐ、細胞が分裂する、心臓を左に配置する、コショウを吸ったらくしゃみをする……生きているといろんなことをしないとなりません。
忙しい生命活動を支えているのが、小さな小さな短い毛、繊毛(せんもう)です。
どれくらい小さいのかというと、鼻に飛び込んだコショウをハックションと吐き出すとき、のどの奥でコショウの粉を捕まえて、ベルトコンベアのように粘液と一緒に喉に送り込むための、その細胞の一つ一つにはえています。

 

繊毛は、のどの奥だけでなく、いろんなところに生えています。
池の水をくんできて、顕微鏡で観察すると、ゾウリムシが体中の繊毛を波立たせて泳いでいます。

 

2本の鞭毛(べんもう)を使って平泳ぎをするクラミドモナス(和名 コナミドリムシ)もいます。

 

鞭毛は繊毛よりずっと長くて、一本だけ生えています。一見別物のようにもみえますが、鞭毛も基本的に繊毛と同じ構造をしています。

 

精子がオタマジャクシのように鞭毛をひらめかせて、卵子を目指します。
受精し、成長をはじめたばかりの初期胚の表面では、一ヶ所だけにある繊毛がくるくると小さな流れを作り出し、その流れによって体の左右が決まります。
この繊毛の働きは、命の有無をも左右します。
繊毛がまったく生えない異常を持って生まれた受精卵は、発生のはじめのうちに死んでしまいます。

 

繊毛を輪切りにすると、不思議な構造が現れます。
9本の管(周辺微小管)が時計の文字盤のように等間隔に並び、その中心に一対の管(中心対微小管)があります。これが いきもにあ のマーク、9+2構造です。
実際に、細胞のように小さいものを見るための特殊な顕微鏡で観察したときにも、このマークにそっくりの形が見えるのです。

 

9本の管(周辺微小管)が時計の文字盤のように等間隔に並び、その中心に一対の管(中心対微小管)があります。これが いきもにあ のマーク、9+2構造です。
実際に、細胞のように小さいものを見るための特殊な顕微鏡で観察したときにも、このマークにそっくりの形が見えるのです。

 


クラミドモナス鞭毛の内部構造(軸糸)/神谷律博士 提供

 

たったこれだけのシンプルな基本構造で、ブンブン回ったり、ヘビのようにくねったり、たくさん並んでベルトコンベアになったり、匂いや光の情報を受け止めるアンテナになったり、想像も及ばぬほどの幅広い役割を果たしています。

 

なぜ5本でも12本でもなく9本なのか。
どんなふうに、どうやって動くのか。
決まった長さまで伸び、伸びすぎないで一定の長さを保てるのは、どんな仕組みなのか。
細胞の中や外で繊毛を囲む周りの環境と、どんなふうに関わっているのか。この不思議な構造をした繊毛は、今もまだ、たくさんの謎に満ちています。

 

繊毛の秘密が気になりはじめた人には、ぜひ神谷律博士の
「太古からの9+2構造 繊毛のふしぎ(岩波科学ライブラリー)」
を読んでみることをオススメします。
ゾウもゾウリムシもウニも昆布も、もちろん私たちヒトも、体の中にいきもにあマークを持っている。

 

そう考えると親近感が湧いてきませんか?

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